第1章 中小企業のIT導入環境は激変している  
                  
倉重
忠男小企業の経営環境は急転している

  景気の動向は益々混迷を続け不透明のまま、企業は必至に環境対応を模索しています。しかし見方や考え方を変えた時、混沌とし不確実の時代に新たなニーズや役割そしてニッチ分野が生まれてきていることも事実です。

こうした動きは、経営者の新しい創造力で新しい経営資源を生み出し、適切かつ迅速に意思決定すれば、飛躍的躍進を掴むチャンスがあること意味します。過去幾多の変革期がありましたがこの度のIT変革の波は遥かに大きく未知数の可能性が含まれたものです。その事象は既に各産業に現われ出しています。業界のデータベースを独占的に確立し従来の業界を一転させたり、全くの業界素人が一躍トップに踊り出てくる。更には顧客満足に新しい概念とサービスで適切かつ迅速に対応する仕組みで飛躍的躍進を遂げている実例を見たとき等しく共通点があります。

それは徹底した経営革新と、ITソリューション体制の確立と言う事実です。このことは経営の刷新をすばやく判断し、適切なアドバイザーのもとでITソリューションを構築しスピード経営で革新に成功した中小企業に一大チャンスが訪れていることを意味します。独自の経営革新の確立はもはや食うか食われるかの戦いになってきました。従来の延長戦上に活路を見出すのでなく新しいビジョンとそれに基づく戦略を確立し末端の担当者までレベルダウンしていく戦術が必要になるのです。政府はe−japanで2005年に世界最大のIT国家になることを宣言しました。今そのインプラ整備のメドがつきいよいよハード体制、ソフト体制の一大改革が始まったのです。今決断しなければ新しいe−japan時代に生き残る事は出来ません。

2.             経営革新が今求められている理由

 中小企業のIT導入で最大のミスは業務改革を行わず現状体制で性急にIT化しようとることです。導入目的は明確でなく企業の方向が正しくなければ巨額の資金をIT分野に投資しても経営の活性化と改革は望めません。日本経済がe−japan第二ラウンドで激変しようとしている中、中小企業が正しく対応しなければ生き残る事は難しいのです。

それではどのように激変する環境に対応すれば良いのでしょうか。その鍵は経営者の志、夢、マインドそのものにあるのです。新しい時代に「何をしたいのか」、「どんな任務を果せるのか」と言った経営ビジョン、ミッションを改めて見直して行く事が今求められているのです。どんな企業であれ、ライバル企業がITを駆使し戦いを挑めば勝ち目はありません。ITの良し悪しでなく他社に先駆けいち早く決断し、変革する経営環境を先取りし対応するしか方法はないのです。従って 

(a)現状の経営体制と外部環境を正確に把握し、持てる資源を的確配置し進むべき      方向を誤らないこと
     (b)業務改革、経営革新を通じ業務プロセスを修正し正確かつ迅速に意思決できる      ITネットワークを構築すること

 このことはミッション、ビジョン、経営戦略、経営戦術から一貫して個々人の目標ニまで結びつけ業務活動と戦略を一体化していこうとするものです。

個々人の業務プロセスを改革しそれを全社的業務プロセスの改革につなげ刷新されたプロセスでERP(基幹業務のIT化)を検討して行く事がIT導入の基本なのです。

3.             変化とスピードにITCは応える

  ′98に世界の頂点を極めた日本企業が今世界の20番代のランキングに落ち込んだ最大の理由は「いいものを安く売れば、売上は上がる」という神話から脱却できなかったことにあります。一つの商品を標準化で大量生産し販売することも、一定の流通パートナーから仕入、販売することも更には決まったマニュアルでサービスすることも「いいものを安く」の範疇になります。世界の後進国に次ぎから次ぎと追いつかれそして負けてしまった日本の経済力はこうした思考の誤りに原因がありました。世界の体制が個性化、多様化を追求する時代で日本だけが標準化で対応していたことになります。では個性化、多様化にどのような対応をすればよいのでしょうか。そこがITを駆使したスピード経営の基本的課題なのです。消費者の価値観は「欲しいものを安く」を求めだし、しかも個々人によりそれは変わります。そうなると個性化、多様化に勘や経験そして手作業での経営では複雑かつ高度に進化した生活価値観に対応することはできません。正確かつ迅速に対応し、意思決定を誤ることなくスピード経営をするには業務全体の見直しと全社員が一貫した対応を取らなければなりません。そこが経営革新とITを駆使したスピード経営の必要な所以です。しかし経営者だけが理解しても従業員がその新しいビジョンやミッションを充分に理解し行動につなげていかなければ成果は期待できません。大切なことは経営戦略に沿った業務活動を新しく構築していしなければならないということなのです。そして戦略と戦術がトップから従業員まで一貫した政策のもとで活動するということなのです。戦略と戦術をどのようにして橋渡しするか、また戦略が具体的実現するためのビジネスモデルを如何に描いて行くかが重要になってきます。さらに市場に正確かつ迅速対応して、活動行くのには基幹業務のIT化が不可欠になります。

 しかし実際のIT導入はかなりのミスマッチが発生しています。

(1)  伝票書きとキーボードの両刀使いがある
(2)  セクションによってIT導入の意識が違う
(3)  経営者のITリテラシ次第でバラバラに導入がなされている
(4) ERPが導入だれていても殆ど活用する人材教育がなされていない
(5)  ベンダー(IT機器販売業者)任せになっている

これらのミスマッチはせっかくのIT導入で効果がないばかりでなくかえって作業を複雑にしているのが現状です。しかもせっかくの先取りした顧客データがありながら営業活動に生かされていないことは、スピード経営に逆行するものです。こうした体制を解決するには、全社的情報の共有化といったITソリューションの構築が不可欠になります.しかしながら中小企業はこの難問を経営者に委ねられ日々の活動に追われている中でこれらの諸問題を解決する充分な時間がなくまた専任IT担当者を採用する余裕もない現状です。そこでこれらを側面から支援し現状諸問題を解決するのがITC(ITコーディネータ)です。ITCは当該企業の経営者のスタッフになり戦略と戦術を決め、個々の業務プロセスの改革を提言し、基幹業務のIT化を提言し経営の問題を解決していく任務を負っています。新しいビジネスモデルを構築してITベンダーに対し適切な提案をし、IT導入からその運営・保守・活用に至るトータルをコーディネートしスピード経営を提言していくのがITCなのです。

4.ITソリューションで未来が見えてくる

 ITCA(ITコーディネータ協会・経済産業省後援・NPO)は日本のe−japanの尖兵ともいえるITコーディネータを育成しています。そのITCAがIT化の基本フローチャートを定め日本経営品質賞のレベルアップを目指し世界に負けない中小企業のIT化プロセスを打ち出しました。(別紙参照)こうした公式のプロセスを基に、中小企業の経営者にわかり易いIT導入に必要な経営革新とIT導入プロセスを手引きしたものが本書です。本書の前半は経営革新を後半はIT導入を手引きしています。ITソリューションの第一歩経営革新から始まります。

a.ビジョン、ミッションの見直し(何をしたいのか)
  b.戦略の策定(そのために何をすべきか)
  c.戦術の策定(すべきことを如何に実現していくのか)
このステップが本書の経営革新の一貫した流れです。

 もとより経営は生き物です.先を見定め、夢・ビジョンを戦略に置き換え、戦略から戦術にダウンロードし個々人の業務プロセスを改革し全社的基幹業務の改革を実現していこうとするのが本書の戦略的経営戦略とITソリューションの狙いです。経営革新とITソリューションでしっかりと未来を見定めた経営が今求められているのです。

鰍oH総研 地方経営者アンケートの結果

◆アンケートで判ったITリテラシー

1.経営者のITリテラシーが低い
 2.成功事例がないと動かない
 3.IT機器症候群が有る
 4.基幹業務は経験とカンで動いている
 5.人的資源を活かしていない
 6.個人の能力のばらつきが大きい
 7.情報部、開発部の人材が少ない
 8.改革派、現状派の対立が有る
 9.既得権を主張し動かない
10.IT効果、メリットがわからない

◆ IT導入の問題点・課題点

 1.IT導入を予定していないが過半数以上でその必要性を実感していない。
 2.2〜3年前の導入を頂点にその後、減退している。
 3.経営者、担当者意外はパソコン業務体制になっていない。
 4.LAN体制は極端に薄い、その活用意識も薄い
 5.パソコンを経理、総務で使用、その他の基幹業務の導入が遅れている。
 6.導入効果は認めていても導入動機、目的が明確でない。
 7.インターネットを使用していても、活用が情報収集・メールに限られている
 8.ホームページの開設が薄く、経営改革につながっていない。
 9.IT化は必要と感じているが経営改革につながっていない。
10.ITの指導・普及の支援体制が薄く、導入のきっかけになっていない。

◆ 経営者のヒヤリングによる問題点・課題点

 1.IT改革についていけない経営者が多い
 2.ITブームになり遅れない気持ち、経済不況が重なり、IT革命の妄想を引き起こし   ている
 3.HP、インターネットの戦略的活用が出来ていない。
 4.地域内、社内のイントラネット体制の確立が出来ずIT相乗効果が薄い
 5.従来のマーケティングとIT革新の組合せと言った発想がない。
 6.IT活用による生産、物流コストダウンの効果測定が明確でない
 7.業務の効率化程度の理解である(利益改善、経営改革までいかない)
 8.商品戦略の発想が薄い
 9.営業活動の貢献が薄い
10.顧客満足からの経営改革は皆無である

第1章   中小企業の経営革新とITソリューション     
1. 経営革新はこうして始まる

 どんなに経済が混迷しようと経営者はしっかり前を見つめる姿勢が必要です。前を見つめる姿勢とは当該企業の進むべき方向を誤らないということです。しかしバブル経済がはじけマイナス経済そして深刻なデフレ経済にあって進むべき方向を誤らないということはそう簡単ではありません、政治的構造改革が先行し経済社会に大きなうねりとなって押し寄せ企業は変革を余儀なくされています。経済基盤が変革し従来路線では通用しない厳しいて環境の中で、しっかりと前を見つめることが大切なのです。では前を見つめるとはどのようなことなのかを考えて見ましょう。最近経営者は「売上の減少ではない、売上そのものが消えていく」と深刻な現状を訴えています。まさに政治的構造改革は社会構造を根底から変える結果になり経営路線をも直さなければ生きていくことすら難しい状況です。今日のわが国の政治的、経済的改革は始まったばかりでコルからが本番を迎えようとしています。過去から現在のまで営々と築き上げた売上高が根底から消え去る現象が起きていることも事実です。そのような業界では売上対策ではなく、根底から経営基盤そのものを変革していく必要があります。まさに前を見る発想の転換が求められているのです。前を見つめ直すことそのものが経営革新の始まりなのです。下記の図表2-1はこれから経営革新とITソリューションを進める基本的フローチャートとなります。このフローチャートから全体イメージを把握しその手順をまず覚えておくことです。

1. SWOT,CSF,BSCで経営革新が見えてくる

先を見て、適切な対応をしていくと言う経営革新には手順があります。その手順は次の通りです。

(a)現状はどうなっているのか
(b)将来は何をしたいのか

この二点から正しく前をみる考え方を考察しましょう。大海を航海する船は二つの絶対要件があります。

      @ 現在時点を把握している事
      A 目的地が明確なこと

この二つは先にみた経営革新の要件と全く同じことです。つまり経営革新は現在時点と目的を明確に把握することから開始することのなるのです。現在時点は内外環境の正しい把握にあり、目的地は進むべき方向とそのための戦略に他かなりません。従ってまず現状把握から考察して行きましょう。

現状把握では当該企業の内部環境とそれを取り巻く外部環境の両方が必要になります。経営革新の処方はこの現状把握をSWOT手法で試みます。SWOTの具体的流れは次節で述べるとしてここでは環境把握の流れそのものを理解する事に致しましょう、まず正しい方向を見つけていくSWOT分析は次ぎの視点から試みます。

(a)当該企業の強みと弱みの把握(内部環境把握)
     (b)当該企業の機会と脅威(外部環境把握)

最大の強みは何か、最大の弱みは何かといった当該企業の強み・弱みから内部環境を正しく見つめます。さらに事業チャンスはないか、あるいは外部に脅威は迫っていないかといった当該企業の機会や脅威から外部環境の把握として実施します。こうして外部、内部の環境に変化要因と取巻く環境因子を隈なく列挙し内容を吟味し、優先順を考え列挙して下さい。

2.    SWOT分析で正しく環境整備をしよう

実際にSWOT分析を手順に従い概説していきましょう。下記の表でその手順を説明します。企業がおかれている立場を機会、脅威の外部環境と強み、弱みの内部環境の現状分析を的確に把握することで、企業活動の方向性を明確にしていくステップです。企業の内部分析は「S:強み」と「W:弱み」で分析致します。また企業の外部分析は「O:機会」と「T:脅威」で分析致します。

(a)強み:競合他社より優れている要素で商品品質、低生産コスト、流通パートナーの結びつき、販売促進、営業体制、研究、開発、製造、流通、販売、サービス体制、組織体制、経営意思決定、素材調達力等を鑑みて記入してください

 (b)弱み:競合他社より劣っている要素で商品品質、低生産コスト、流通パートナーの結びつき、販売促進、営業体制、研究、開発、製造、流通、販売、サービス体制、組織体制、経営意思決定、素材調達力等を鑑み列挙してください。

 (c)機会:適切な戦略を取れば売上のチャンスがある要素で業界の競合状況、敵対関係、売り手、買い手、市場の規模、市場の成長性、技術革新、合併、ウオンツの存在、高収益の可能性、価格の安定、少ない競合状況、参入対応等を鑑み列挙してください。

 (d)脅威:適切な戦略を取らなければ売上がマイナスになる要素で業界の競合状況、敵対関係、売り手、買い手、競合他社の状況、新規参入、流通での競争状況、仕入競争力、価格破壊、消費者の価値観の変化、IT環境等を鑑みて列挙してください。

以上の要領でSWOTの4つの視点を下図の従って作成してください。企業内のプロジェクトチームでSWOT部会で(小企業ではSWOTチームを構成する)作成して下さい。内外環境の情報収集と正しい判断能力が求められるだけに当該企業のビジネスプロセス全体から検討しなければなりません。また一企業で経営は成り立つのではなく複数の流通パートナーが係わっているとすれば、それらを含め総合的に情報収集が必要になります。企業内で実施する場合はこの点を留意し上記の4つの視点の情報収集から開始して下さい.

◆SWOTの作り方は表の手順に従って作成してください。図表2−1

機会(Opportunity)

脅威(Threat)

強み(Strength)

(1)自社の強みで取り込むことができる事業機会は何か?

(2)自社の強みで脅威を回避できないか?他社には脅威でも自社の強みで事業機会にできないか?

弱み(Weakness)

(3)自社の弱みで事業機会を取りこぼさないためには何が必要か?

(4)脅威と弱みの、はち合わせで最悪の事態を招かないためには

1. SWOTのクロス分析でCSFを導く

 (1)SWOTのクロス分析とは

  SWOTの最初は内外環境の把握にありました。正しい把握で優先順で四つの視点が整理されれば次ぎに環境要素をクロスさせて行きます。

a.強みで機会をものにする
    b.強みで脅威を防ぐ
    c.弱みで機会を取りこぼさない
    d.弱みと脅威のはち合わせのならない
結果的にこのクロス分析から前が(進む方向が)見えてくるのです。クロス分析では、最も効率な経営資源で外部環境に対応するといた思考になりその組み合わせから当該企業がとるべき方向を決定されるのです。正しい現在時点の把握ができると、現在時点からどこに向かかといった目的地を定めます。現在時点と目的地が明らかになれば大海を航海できる船のごとく動き出します。このステップが先に示した、現状はどうなっているか、そして将来何をしたらいいのかといた「正しく前を見る」考え方(方向性)を見出して行くのです。実際のクロス分析からCSFを導いていくには少しポイントがあります。

CSF(Critical-Success-Factor)とは重要成功要因と訳されています。現状から成功するであろう方向を求める手法です。このCSFを導く作業は経営革新の第2ステップになります。CSFにより企業が現状に即し短期的に進むべく方向がしっかり見えてくるのです。さらに次ぎの第3ステップではCSFで見えてきた方向を軌道に乗せるために、BSC手法による戦略マップが作成され戦略、戦術が明らかになる仕組みです。ここではまだCSF作成に集中する事にしましょう。CSFの作成は次ぎのイメージで作成されますSWOTでは強み・弱み、機会・脅威の適切な要件を優先順に40項目ぐらいが選定されることになります。見逃した要素がないか十分に検討しCSFの抽出を試みます。ベスト10位の重要事項に絞り込みます。SWOTで出た40項目を下記の要領でクロス分析することでCSFを導いていこうとするものです。

     強みと機会
     強みと脅威
     弱みと機会
     弱みと脅威

(a)自社の強みで取り込むことができる事業機会は何か?を列挙する。(自社の強みで機   会を活かす)
(b)自社の強みで脅威を回避できないか?他社には脅威でも自社の強みで事業機会にでき   ないか?(自社の強みで脅威を機会に変える)
(c)自社の弱みで事業機会を取りこぼさないためには何が必要か?(自社の弱みで機会を   逃さない)
(d)脅威と弱みの、はち合わせで最悪の事態を招かないためには(自社の弱みで最大の危   機を回避するには)

作成にあたっての留意点をまとめれば次ぎの通りです。

@ 四つに視点から企業の競争に勝つための道筋を明確にすること
 A 四つの視点の要素は企業のおかれた環境により追加変更してよい
 B 外部環境、内部環境の捉え方を明確にして開始すること
 C 内部環境はすべてのビジネスプロセスを列挙し検討すること
 D どんな状況が最適なのかをイメージして記入すること
 E 行くべき自社の方向をイメージすること。
 F 企業のビジョンを確認していくこと
 G 企業方針、企業のミッション等を鑑みて検討していくこと

(2)クロス分析と上下関係

こうして導かれたCSFは「何をしたいのか」と言った企業ビジョンを達成するために「誰に対してどんな優位性を駆使し、何をするのか」を明確にするステップです。当該企業のとるべき方向を明らかにすることです。誰に対し、どんな優位性をもって、どんなことをするかが明確のなり、また戦略が不明確なときは重要なキ―ワードになります。そして次なるステップである戦略マップの作成の基礎になります。また経営革新にとって重要な方向付けを示唆することにもなるのです。このように生み出されたCSFは、第1章で述べた「正しく前を見る」ための当該企業が身近な課題や問題点をクリアーして、進むべき方向を示すものですが戦略ではありません。戦略は次ぎのステップであるBSCにおける戦略マップを作りそこから生まれてくるものでCSFの要素は当該企業が取るべき短期的方向を示すことになります。しかしCSFだけが短期目標になるわけではありません。次ぎの作成留意点を考慮する事です。

(a)ここで企業のミッション(企業任務)と照らし合わせ記述する
  (b)有用かつ重要なものを記入してき全体像を明らかにする
  (c)誰に対してどんな優位性を駆使し、何をするのかを明確にする
  (d)このステップでは方向性で戦略ではない
  (e)今、企業が最重要点として方向づけなければならない視点を明らかにする

作成にあたっての留意点をまとめれば次ぎの通りです。

@ 四つに視点から企業の競争に勝つための道筋を明確にすること
   A 四つの視点の要素は企業のおかれた環境により追加変更してよい
   B 外部環境、内部環境の捉え方を明確にして開始すること
   C 内部環境はすべてのビジネスプロセスを列挙し検討すること
   D どんな状況が最適なのかをイメージして記入すること
   E 行くべき自社の方向をイメージすること。
   F 企業のビジョンを確認していくこと
   G 企業方針、企業のミッション等を鑑みて検討していくこと

これらの留意点から明らかなように、CSFの役割は現状で自社のとるべき方向を明らかにすることです。誰に対し、どんな優位性をもって、どんなことをするかが明確のなり、また戦略が不明確なときは重要なキ―ワードになります。そして次なるステップである戦略マップの作成の基礎になります。また経営革新にとって重要な方向付けを示唆することにもなるのです。

1.  「何をしたいのか」、「すべきことは何か」、「すべきことを如何に実現するのか」が一貫した流れ

 経営革新のステップをこの辺で一度整理しておきましょう。正しく前を見る考え方で経営革新が開始されました。現在時点と目的地を定めるべく、SWOT分析とCSFの作成を見てきました。次なるステップは経営革新の最も大切な戦略と戦術の段階です。経営革新に一貫した流れは次ぎの通りでした。

  (a)「何をしたいのか」(志、夢、マインド)
  (b)「そのために何をすべきか」(戦略)
  (c)「すべきことを如何にして実現するのか」(戦術)

 このステップはいつの時代でも変るものでは在りません。しかし環境は時代により変るものです。従って常に正しく前を見ることが求められます。これまでSWOTとCSFで経営革新を推進してきました。次なるステップは戦略と戦術です。この関係は「何をすべきか」と「すべきことを如何にして実現するのか」の2点を明らかにするステップです。実はこの2点を橋渡しするのがBSCによる戦略マップそのものなのです。従って戦略を明らかにし、戦術が決まればそこからビジョン(何をしたいのか)を検証し経営革新の基本3原則の関係が成立することになるのです。

 

2.  BSCで戦略マップを作ろう

  (1)戦略マップの意味と役割

戦略マップは戦略と戦術の橋渡しツールであることを前述致しました。ではBSCとは何か、戦略マップとは何かを考察していくことに致しましょう。

バランス・スコアカードの生みの親であるキャプランとノートンは、バランス・スコアカードを飛行機のコックピットに例えています。飛行機のパイロットは、操縦に際し、現在地と目的地を明確にし、飛行機の計器から提供される燃料、スピード、高度、方向、現在地と目的地等に関する詳細な気象情報を的確に把握し、飛行機の長旅を顧客に満足させながら、安全に目的地まで操縦していきます。企業経営も飛行機の操縦や船長の舵取りと同じで、正しく方向に進むためにバランスと取れた視点(スコアカード)から総合的に意思決定をすべきとしているのです。財務的視点に代表される過去と、顧客の視点と業務プロセスの視点に代表される現在、さらに人材と変革の視点に代表される将来をバランスさせる。また財務と顧客は外部的の視点であり、業務と人材・変革は内部的視点です。更に伝統的財務評価だけでなく非財務的指標を十分に活用し、戦略と戦術の橋渡しをするコミュニケーションツールとしてBSCの戦略マップは重要な意義をもつのです。何をすべきなのか(戦略)を明らかにして行き同時にすべきことを如何に実現するか(戦術)を明らかにする橋渡しツールが戦略マップでし。戦略マップは全社的、部門的、機能的戦略に対応したものを作ることになります。但し従業員の50名以下の企業では全社的戦略における戦略マップで充分です。BSCで作成する戦略マップはこうしたコミュニケーションツールでとして捉えることで戦略と戦術を明らかにしていこうとっする手法なのです。それでは具体的に戦略マップ作成のステップをみていきましょう。

(2)BSC戦略マップの構成要素と因果関係

BSCは4つの視点からバランスの取れた戦略的意思決定を目指しています。したがって四つの視点毎に何がテーマになるかをマップに記述していきます。財務視点から開始されますが顧客の視点でも結構です。最初に全社的な目標である収益性、流動性、生産性等の最終目標を決めます。企業独自に生産性付加価値や効率性を採用してもよいでしょう。更にBSCは全社的、部門的、機能的に作成し、全体の整合を図るところに意義があり、縦横の関係から個々人と戦略、ビジョン、ミッションの関係を明確にする事が肝要です。BSCの上から下の流れは三本くらいで、戦略マップは25前後にするのがよいでしょう。BSCの作成は企業にやって違いますが、プロジェクトチームを社内に作り対応指摘ことも重要になります。

また戦略マップはCSF、ビジョン、ミッションを参考に作られます。BSCは財務目標を明らかにし上から下に記述して行きます。(財務からスタートできない場合は顧客から開始してもよい)戦略マップのカードには各視点のキーワードから記述されて行きます。BSCの戦略マップ全体は、上位が目標、下位が手段で一貫しています。下位の関係が目的と手段が置き換えられるのです.

縦の戦略目標を決めてから横の関係(戦略目標、結果指数、先行指数、アクションプランを設定して行く手順になります。ここは戦略をより具体的に戦術の目標数値を明らかにして行くステップでもあります。縦の関係では上位と下位の関係から戦略と戦術の因果関係明らかにして行きます。目的と手段を明確にすることで因果関係を理解した上で横の関係から活動の合い方を導き結果的に戦略を戦術までダウンロードしていこうとするのです。戦術へのダウンロードは戦略マップの横の関係から個別に担当者レベルまで落としていけば戦術「すべきことを如何にして実現するのか」が明確になって行きます。この横の関係はCSF,ミッション、ビジョンを参照し、戦略マップを完成し、BSCの縦の関係から横の関係を明らかにすることで明確な戦術の策定を目指します。下記で具体的BSCの理解と戦略マップについて考察して行きましょう。

  

        ◆財務の視点

CSFやミッション、ビジョン、戦略達成のために、財務面の成果で収益性、流動性、生産性の視点から最も重要視される具体的目標数値を決めます。全社共通目標になる成長性、収益性、流動性、生産性等の指標で統一しておくとよいでしょう。主な成果指標は次ぎの通りです。

 (a).ROA(総資本利益率)
 (b).ROE(自己資本利益率)
 (c).売上伸長率
 (d).売上高利益率
 (e).総本回転率
 (f).フリーキャッシュフロー
 (g).売上拡大
 (f).顧客拡大
 (h).赤字路線の脱却
 (i).アウトソーシング
 (j).予算統制

   ◆顧客視点

財務の成果を達成するために顧客にどんな満足を与えるのかといった視点から具体的な顧客価値提供をイメージして上位目標の手段を考察します。当該企業に顧客はどんな期待をしているかを考え。そのため当該企業のステークホルダー全般にたいして如何なる満足を与えるかを考えて行きます。どんな顧客がいて、それぞれに、どのようなサービスが必要か、また他社に秀でて提供したいサービスとは何かを具体的提供できる内容を明記することになります。品質、機能、サービス、コミュニケーション、空間的スクエア等を具体的に明記し顧客をターゲット毎に取り上げそのサービスの視点を決めて行きます。

次ぎの視点から成果指標を考えることが大切です。

 (1).顧客に対し製品力による差別化はできるか
 (U).顧客に対してオペレーションによる効率はできないか
 (V).顧客に対し差別化したサービスの提供は出来ないか

主な成果指標の事例は次ぎの通りです。

 (a).挨拶の厳守
 (b).受発注のスピード化
 (c).ネットでの予約
(d).低価格に実現
 (e).ブランドの確立
  (f).サービス強化
  (j).独自のSP

   ◆業務の視点

顧客の視点での目標を達成するために業務をどのように展開して行けば良いか。調達、生産・加工、販売、出荷、マーケティングの視点から目標を設定致します。(顧客にたいする目標達成のため、どんな業務プロセスが必要になるかを業務プロセス全体を示しその中でどの部分がターゲットになるかを明記して下さい。主な業務プロセスは次ぎの通りです。

@ 企画面でのプロセス改善
  A 開発でのプロセス改善
 B 調達でのプロセス改善
 C 生産でのプロセス改善
 D 保管でのプロセス改善
 E 販売でのプロセス改善
 F 経理でのプロセス改善
 G サービスでのプロセス改善
当然当該企業によりこのプロセスは違ってきます。上位である顧客価値満足を満たす業務プロセスを明確にすることです。

         ◆学習・改革の視点

業務目標を達成するためにどんな能力が必要になるのか。どのような状態で上位目標を達成できるかといった視点で人材育成面、組織面、情報面、個人の能力開発面から具体目標数値を決定して行きます。特にここでは改革の視点があり上位目標を達成するために何を革新していくのか、そのために従業員はどんな意識改革と行動改革をしなければならないのかといった視点から個々人の活動目標を決めていくことです。上位目標は業務プロセス、顧客の両方を達成するために従業員がないをするのかを明記できることです。主な学習・改革の視点は次ぎの通りです。

 (a)能力開発の視点から改善・改革
 (b)資格取得の視点から改善・改革
 (c)ディベート能力の視点から改善・改革
 (d)折衝能力の視点から改善・改革
 (e)人材育成視点から改善・改革
 (f)情報処理能力視点から改善・改革
 (g)従業員組織力視点から改善・改革
 (h)人件費効率視点から改善・改革
 (i)採用条件視点から改善・改革
 (j)自己管理能力視点から改善・改革

これらの要素を念頭に置き作成していきますがBSCの作り方でいくつかの留をあげておきましょう。

    @ 戦略マップは顧客の視点から作成した方が作りやすい
    A 財務の視点は全社共通目標となる
    B 財務、顧客、業務、人材・改革の視点と上位から下位に移行していく
    C 常に上位が目標であり、下位がその手段になる
    D 顧客の視点で顧客分析(ステークホルダー)を充分にすること
    E 業務プロセスでは上位目標(顧客と財務)を達成するプロセスを意味する
    F 人材・改革に視点は上位目標(財務、顧客、業務)を達成するために秀でたる目標を明記し      なければならない。
 経営革新はこの戦略マップの作成が最も重要になり充分な時間をとり検討していきないものです。実際の戦略マップは下図のイメージで作成して下さい。

 (3)戦略と戦略マップ

 BSCの作り方には規制がありません。ここでは戦略と戦略マップの視点から作り方を復習していきましょう。戦略には大まかに次ぎの3種類がありそれぞれの戦略に照らし合わせBSCの作成がなぞまれます。

  (a)全社的戦略(全社幹部で作成)
  (b)部門別戦略(部門長グループで作成)
  (c)機能的戦略(各セクションで作成)

全社、部門間、機能間、へと戦略が継がれていくことになります。戦略マップの柱は3本程度で各視点の戦略目標は6個位が適切でしょう。上位が目標で下位が手段で、「〜を実現する」と云ったイメージで記入して行きます。

まず最初は全社的BSCの作成から取りかかります。CSFで出た結果を達成するためにまず顧客の視点から開始します。戦略目標をCSFの方向に向うため、顧客の視点から作成していきます。財務と顧客の視点で、目的と手段の関係から上位戦略目標を達成するための手段を作成して行きますが、但し顧客の視点で「弊社の顧客は」あるいは「弊社のステークホルダーは誰が優先か?」をしっかり討議して進めることが肝要です。下位の視点で選択した戦略目標を達成するために、それを手段としての上位の目的を達成するものかを検証います。目的と手段がどのような状態になることが望まれるかをイメージしてマップを作成して下さい。戦略マップで縦の関係が完成するとつぎは横の関係です。縦の関係で3つの柱ができたとして、それぞれに横の関係を完成させます。この横の関係こそ戦略から戦術に移行する重要なプロセスになります。縦の関係で目的と手段を読み、その関係から横の関係を確立して行きます。横の関係は戦略目標、結果指数(KGI)、KPIそしてアクションプランで構成されます。作り方は次ぎの通りです。

@ 縦の目的と手段の関係からまず戦略目標が決まります。
   A KGIは結果指数で最終ゴールを意味します.
   B KGI達成のための先行指数がKPIです。KPIは短期的に達成すべきレベルをイメージして    作成して下さい。

こうしたBSCの作成は、最初は縦の関係(目的と手段)で作成してえ下さい。BSCを良く理解した段階で横の関係に移行してもかまいません。この場合目的と手段の関係からKGI、KPIを決めこれらの2つの指数を規制する事で戦略と戦術が見えてきます。

 7.戦略と戦術を明確にする

何をすべきか(戦略)とすべきことを如何に実現するのか(戦術)の関係は上位目標と現在時点の手段の関係にあります。現在何処にいて、将来の目標にどのように到達するのかを明確にするステップです。BSCの縦の関係で戦略と戦術の関係は目的と手段という大まかなアウトラインしか見えず、あまり鮮明ではありません、そこで横の関係を通じて鮮明にするため具体的な達成目標が必要になります。これがKGI(KeyGoalIndicator最終ゴール)とKPI(KeyPerformanceIndicator/先行指数)を設定する事で明らかになっていきます。

BSCの横関係を作成は上から下に作成した戦略マップを今度は横の関係で見ていきます。四つの視点毎に各戦略目標に対し、結果指数(KGI)を設定し、からに短期的視点で先行指数(KPI)を決めて行きます。このステップが戦術と戦略を明らかにするステップになるのです。

8.BSCは戦略と戦術を橋渡しするツールだ

何をすべきか(戦略)と、すべきことを如何にしたら実現していけるか(戦略)と言った戦略から戦術の策定ステップは経営における意思決定で非常に不明確でわかりにくい部分です。戦略マップ(因果関係)から戦略戦術までの関係が明らかになりました。 戦略目標、結果指数、先行指数等を鑑み戦術の明細を決めていきます。前ステップでは戦術のアウトラインしか決まっていません。(アクションプラン)戦略をより具体的かつ詳細にダウンロードして行く方法として、BSCの使い方は下から解釈していきます。このことで戦術のアクションプランの明細を作る基礎ができるのです。短期、中期、長期的に捉えたKPIKGIを見てどのように戦術プランを実行して行くかが戦術アクションプランになります。BSCで縦の関係でアウトラインを横の関係で明細を紐解いていこうとするものです。その手順は次ぎの通りです。

(a)BSCの縦の関係から目標と手段を明らかにします。
   (b)BSCの横の関係から目標のゴールと中間を明らかにします。
   (c)担当者は自分の立場で、BSCの戦略マップを見てどのステップが個人のミッションから重要     になるかの優先順を決めます。
   (f)優先順から達成のためのアクションプランを作成します。
   (g)その場合特にアクションプランにはゴールと中間目標を明確にします。
   (h)特に重要なアクションプランは明細を綴り、確かなKPIをいくつか設定致します。
   (i)KPIに対し計画案、実行案、そして期待される効果、そのために業務プロセスが記載されま     す。
   (j)業務プロセスは人材・改革の視点からBSCで再度見なおしされます。
   (k)見なおしされた業務プロセスのKPIはより具体的にかつ進捗状況からどんなチェックが必要     にあるかを明らかにします。
これらのステップがアクションプランのP・D・Cといったマネジメントサイクルの詳細により具体的戦術が見えてくるのです。

9.個々人の目標管理と業務プロセスの改革

 戦略目標の縦と横の関係が明らかになれば個々人が具体的に行動をおこすマネジメントサイクル(Plan・do・See)を作成していきます。BSCの戦略マップで戦略目標が設定されています。(ex下図)最初に作成するBSCは全社レベルですから部門レベル、機能レベルへと、上位BSCとの因果を受けて作成していくことになります。機能レベル(中小企業・50人以下では最初のBSCでよい)のBSCから個人の目標管理をコントロール(統制)して行くために図表2-の因果で作成し、具体的KPIまでを明記します。KPIにもマネージャークラスではBSCの4つの視点から一つを最低目標にして設定して戦略マップをつくることになります。しかし担当者レベルでは直接財務との結びつきがなければ学習・業務あるいは学習・業務・顧客の3視点になるかは当該企業に事情で決めて行けばよいでしょう。またKPIは必ずしも計数的指数だけでなく、戦略目標を達成すると〜な効果が期待できる、あるいは〜を実現するといった表現で明確にすること結構です。従業員の少ない企業ではBSCそのものを全員で作成し各視点の役割分担を行うことで実施してもよいでしょう。大切な事は従業員の参画意識と上位概念(ミッション、経営理念、戦略等)を充分に話し合いBSCを作成する事で個々人のKPIもより具体的になってきます。

KPIのモニタリング(評価体制)の作成は全社的に決定しBSCの四つの視点や、KPIでウエイトづけして行くことで当該企業の実情を加味することができます。当該企業のミッション、経営理念、戦略等上位概念からウエイトづけをしていくと良いでしょう。

KPIが決まるとKGIを確認し個々人がどのように実現して行くのかのPlanDo/Seeといった個別のアクションプランを作成し進捗を管理してきくことになります。下図を参照し独自のKPIを作成モニタリング体制を確立すると良いでしょう。

10.経営革新の全体像が見えてきた

 SWOTからCSFそしてBSCと3ステップをへて、現状と将来目標が見えてきました。戦略マップから各人が戦略と戦術に因果関係を踏まえここのKPIを達成する事で戦略参画意識が芽生えてきます。BSCを完成しどのように活かして行くかは経営者の決断しだいです。企業が置かれた環境は未だ不透明で経済は混迷を続けています。だからこそ経営革新が必要なになるのです。全社一丸となって進むべき方向に全力をそそがなければなりません。SWOT、CSF,BSCを通じての経営革新が展開される事になります。この経営革新がしっかり行かなければ最終目標のITソリューションの導入も生きてきません。その意味で経営革新の流れから下記の留意点を充分考慮し次ぎのステップに進むことになります。

 (a)当該企業が置かれた内部環境を把握し、自社の弱み・強みを把握すること
 (b)強み・弱みは当該企業の全ビジネスプロセスを捉えて検討すること
 (c)どのターゲットに対しそんな有利性でどのようにするかといった方向付けをクロス    分析で検討する
 (d)クロス分析からCSF(重要成功要因)を導いていく
 (e)CSF、ミッション、経営理念、経営戦略からBSCを作成していく
 (f)戦略マップは4つの視点(財務・顧客・業務・学習)の視点で展開すること
 (g)学習の視点を改革としてもよいし5つ目の視点としてもよい
 (h)BSCは縦の因果関係から作る
 (i)BSCの縦に続き横の因果関係を検討する
 (j)横の関係はKGI,KPIの設定で展開する
 (k)全社戦略、部門戦略、機能戦略があるようにBSCもそれぞれに対応し作成するこ    と
 (l)機能戦略に対応したBSCから個々人のアクションプランをもとにKPIまでダウ    ンロードして行き
 (m)KPIに対するモニタリングリストを作成すること
 (n)KPIと目標管理をリンクさせること
 (o)個々の担当者はKPIをもとにPlan・Do・Seeのマネジメントサイクルでアクショ    ンプランの具現化をはかること
以上の流れ出完全に経営革新の全体像が見えてくるでしょう。

11.Tソリューションの体系と組織体制

  経営革新が整った時点でITソリューションの導入計画が始まります。大切な事は経営革新で改革された業務プロセスやKPIから改革の提案があった部分を特に留意することが大切です。経営革新ではあらゆる視点での情報収集及び改革が提言されました。その際下記のプロセスでの改革が提言されますので全社的プロセスの何処が改革され、どんな目標を捉えているかを意識し基幹業務のITソリューションを検討して行く事になります

a.企画面で改革のあったプロセス
 b.開発で改革のあったプロセス
 c.調達で改革のあったプロセス
 d.生産で改革のあったプロセス
 e.保管で改革のあったプロセス
 f.販売で改革のあったプロセス
 g.経理で改革のあったプロセス
 h.サービスで改革のあったプロセス
特に改革されターゲットになった業務プロセスと目標を経営の意思決定に反映したITソリューションの導入を目指す事が肝要です。BSCでは四つの視点から目標が設定されました。

@     財務の視点で設定された目標
A     顧客の視点で設定された目標
B     業務の視点で設定された目標
C     学習の視点で設定された目標

この目標に対しKGI,KPIが設定されそれぞれに目標が設定されます。その目標を管理できる基幹業務システムのITソリューション導入が目標になってきます。次章以降ではITソリューション導入の基本と導入手順及びIT導入活用レベル方策更にはe−コマース導入のホームページ戦略を考察していきます。また流通業(卸売業・小売業・サービス業)のITソリューション導入の手引きを判りやすく説明しています。ITコーディネータを上手に活用し経営革新とITソリューションの導入に差別化を図り変革する経済に対応して行きましょう。